ムゲン10

「…で、何ですか?話って…」

ビルの入り口付近にあるソファに腰掛け、不機嫌、というか迷惑そうな顔で山崎は言った。

「久々に顔あわせて第一声がそれかよ、山崎ィ」
「ホストクラブ辞めたからって俺らの関係は消えやしねぇぜィ」

元後輩に低い声で迫るのは土方。
それに合わせて目を光らせたのが沖田。
バーテン時代、この3人はよくつるんでいたが、山崎にはあまりイイ思い出はない。
パシられたり、ミントンサボリを店長にチクられたりした思い出はあるが。
そんな2人の元先輩にこうして訪ねられてもイイ顔は出来ないのはまぁ当然ではある。

「からかいにでも来たんですか?」
「そうじゃねぇよ」
「頼みがあって来たんでさァ。」
「頼み?」

2人から出た意外な言葉に思わず目を大きくする。

「ここの社長、もちろん知ってるよな?」
「ええ、まぁ…」
「そいつについての情報がほしい。何でもかまわねぇから」



その日の深夜。
場所を山崎の自宅に移して、話は始まった。

「自分の会社の社長を調べることになるなんて思っても見なかったですよ…」
「まぁいいじゃねぇか。自分の会社を良く知る結果になったと思えば。」
「…あまり知りたい内容じゃなかったですけど。」
「…話せ、山崎。」


社長、高杉晋助――
TSコーポレーションの社長である高杉は普段直接会社に来ることはないらしい。
ビルの最上階に社長室はあるが、形だけのもの。実質の経営は副社長の別の男が担っている。
実際の住まいは3つある。
海外に1つ。軽井沢に別荘が1つ。そして、目黒に1つ。
最後の目黒の自宅に、一番、いる可能性が高いという。
そこは近所でも有名な大豪邸で、玄関だけで、生活できるほどの広さだという。
足を踏み入れたことのあるTSコーポレーション社員は幹部の限られた人間だけで、ほとんど、その内情はわからない。
ただ、1つ聞こえてきたのは
「高杉社長が会社を持っているのは、ある人間に金を注ぎ込む為だ」
ということ。
高杉自身、あまり心温かな人間というわけでなく、どちらかと言えばカリスマ性で部下を動かしているタイプだ。
その高杉が誰かのために金をつぎ込んでいる、という。
その人物については、高杉が口止めしているのか、全く情報は得られなかった。

「…なるほどな。」
「あと、高杉社長には裏の顔がある、と大抵の人間が言っているようです。何か、薬物売買、とか何とか…」
「ああ、知ってる」
「知ってたんですか;?!」
「俺の調査でそれはわかってたんでねィ」
「…じゃあ自分で調べりゃいいじゃないですか。」
「何か言ったかィ?」
「い、いえっ;別に;!」
「……」
「土方さん。…多分…」
「ああ。わかってる。…銀時、だな。」

―― 高杉が金を注ぎこんでいる人間…銀時に違いない。

「山崎。」
「?はい?」
「その高杉が囲っている人間…もっと良く知りてぇ。調べられるか?」
「…無理だっていっても調べさせるんでしょ?」
「わかってるじゃねぇか。」

ニヤリ、と笑って山崎に告げた。

「スパイがバレて会社クビになったら言え。店長に言って再就職できるようにしてやる」
「…そりゃどーも…」



山崎…ザキ!!(謎)
ザキは実はSだといい。(ぇ)
20050120UP


 






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