ムゲン9

「…ココに居ンのか」
「あぁ。でもお前らみたいな雑魚に会ってられるほど高杉さんは暇じゃ…」
「…総悟」
「ハーイ坊やー。ハゲにされたいんならそのまま続けてー」
「じ、じ、冗談デスッ;!!!」

沖田が言っていた高杉の部下とやらに連絡をとって、待ち合わせた。
港の倉庫裏。
怪しい待ち合わせにはもってこいだ。
車で来ていた土方達は、部下と思しき男を見つけると強引に車内に押し込み、高杉に会わせるよう迫った。
最初こそ渋っていたが、土方と沖田、二人掛かりの拷問に耐え切れずぼそぼそと居場所を話し始めた。
…まぁその殆どの脅迫を沖田が担っていたわけだが。
その脅迫の一つが上の「ハゲにされられたいなら」の件である。
ちなみに沖田の手にはバリカンが握られている。

― ココに、銀時も…

男が案内したのは巨大なビルだった。男の話では高杉はクスリの売買という裏の顔とは別に、大企業の社長という表の顔もあるらしい。

ここに高杉、そして、銀時がいるはずだ。

「総悟。お前そいつ見張ってろ。」
「一人で侵入する気ですかィ?」
「ああ。」

車を駐車場に止めて沖田には男を監視しているようにと告げる。
しかし当の沖田は納得いかない、という表情で渋った。

「俺も行きますぜ。」
「はぁ?お前俺の言うこと聞けねぇのかよ」
「土方さんこそ俺の言うこと聞けねぇのかよ」
「おま…っ今さりげにタメ口使ったろ?!」

テキパキと男を縛り上げながらしれっとした顔で続ける。

「ここでもし土方さんが失敗したら永久にその銀色の旦那を連れ去ることは叶わなくなりますぜ?
ここは協力して行った方が賢い。違いますかィ?」
「……」

確かに。
このビルのどこにいるのかも、ましてやこの男の言っていることが真実かどうかさえわからないのだ。
ここで土方が不意に動いて高杉にバレてしまったら元も子もない。

「…じゃあ…どうすりゃいいんだよ。」
「オイ。さっきから聞いてりゃ、何だ?お前ら白夜叉に会うつもりなのか?」

沖田に縛られていた男が話に割り込む。

「白夜叉?」
「銀色の旦那、って白夜叉だろ?高杉さんが可愛がってるケモノ。」
「ケモノ?…悪いが俺は別に高杉のペットに会いにきたわけじゃ…」
「ケモノっつっても人間だ。ペットってのは正しいかもしれねぇけどな。」
「…お前、銀時を知ってンのか?」

土方の目が細められる。

「銀時?…ああ、確かそんな名前だったっけな。俺達下っ端は大抵”白夜叉”って呼んでるが。会うのは感心しないぜ?」
「…どういう意味だ」
「そのまんまの意味だ。会うのは寄せ。死にたくないならな。」

そう呟く声は、微かだが怯えを含んでいるようだった。

「死にたく…?…高杉に殺されるって意味か?」
「…いや。違う。」

饒舌だった男の唇が止まる。
目が見開かれ、何か恐ろしい光景を思い出しているような。

「おい…?」
「俺は、見たんだよ。あいつ…白夜叉は、ケモノだ。」















その言葉以後、全く銀時のことについて話さなくなった男の口と手足を縛り上げ、駐車場脇の物置に閉じ込めた。

「さて、これからどうするか…」
「とりあえずは聞き込みですかねィ。このビルの構造も知っとかねぇと。脱走経路も必要でしょう?」
「…お前なんか慣れてないか?」
「そうですかィ?やっぱやっとくもんですねィ。ガンアクションゲーム。」

車からスーツの代えを取り出し、白のカッター、黒っぽいスーツに着替えた。
それでもホスト用のスーツで、このビル内にいるようなビジネスマン達のスーツとはかなり見た目が違っていたが、
目立たないようにするにはこの程度の変装で十分なはずだ。

堂々と正面玄関からビルに侵入する。
そのビル正面は前面ガラス張りになっていて、中の様子がわかる。
入ってすぐ正面に受付があり、美人受付嬢が2人笑顔で頭を下げてきた。

「いらっしゃいませ。TSコーポレーションへようこそいらっしゃいました。」
「ヘィ。いらっしゃいました。」
「何ノッてんだ!」

受付嬢の歓迎に小走りで駆け寄る沖田。
それを追って慌てて土方が叫んだ。
ツッコんできた土方を完全に無視して受付嬢に続けて尋ねた。

「山崎退に会いたいんですがねィ。」
「少々お待ちください。」
「山崎…?」

ふと心のあたりのある名前に土方が言葉を止める。

「山崎ってあの…?」
「ヘィ。3ヶ月前までうちのホストクラブでバーテンしてた奴でさァ。ココのビルの名前が出て思い出しましてねィ」
「あいつ、新しい就職先が出来たって店出たけど…ここに就職してたのか。よく覚えてたな」
「世間に関心のない土方さんにはわからねぇでしょうが、ココ、結構な一流企業でしてね。あの山崎がこんな会社に入れるなんて奇跡だって思って、印象に残ってたんでさァ。」
「一番最初コメントは必要ねぇよ」
「お待たせしました。山崎と電話がつながりました。申し訳ありませんがお名前を…」

受付嬢に聞かれ、沖田は笑顔で「マヨラ13だって伝えてくだせェ」と笑顔で返した。
背後に土方の怒号を響かせながら。


山崎は一流企業に入れそう。
でもミントンでサボってんのがバレてすぐ首切られそう。(アワレ)
20051217UP


 






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