ムゲン25



1年後 12月24日――

「多串くーん!俺コレがいい!」
「はぁ;?もっと高いのでいいんだぞ?」
「いい。コレがいい。」

クリスマスプレゼントを買ってやる、と銀時を連れ出したのはいいが、コイツはどうも貧乏性らしい。
この間の誕生日にも、俺と揃えで持っている携帯に付ける携帯ストラップが欲しいと言った。
誕生日なのだから、もっと高いものをねだればいいものを。
そして今回は――

「…何なんだよコレは。」
「え?知らない?今巷で人気の蛇巣他道キーホルダー。」
「…知らない。」
「えー多串くんって…オジサン?」
「上等だコラ。殴んぞ。」
「てへ☆」

銀時が欲しいと言ったのは何やか筒に半円を乗せただけの形をした、のっぺり顔のキーホルダーだった。
最近の流行?これが?
…この国の流行というものは全くもって読めないものだ。

「多串くんもお揃えで持とうよ♪2つ。ほら♪」
「マジでか。つかどこにつけるんだよ。」
「ん〜サイフかな?」

他愛も無い話をしながらそのキーホルダーをレジに通す。
袋を開けながら店を出て、すぐに各々のサイフに気持ちの悪い人形がつけられた。
銀時は嬉しそうだ。まぁ、この顔を見れただけで十分満足。
たとえサイフに気持ち悪い物体がつけられたとしても。

「――あ。」

さぁ帰ろう、と歩き出したとき、銀時が空を見上げて何かに声を上げた。

「―――あ。」

それにつられて見上げた俺の目にも同じものが目に入った。

「…2人で見る雪、2回目だね…」
「…あぁ――」
「……覚えてるんだ?おの雪の日のこと…」
「当たり前だ。…あの日があるから、俺はお前を助け出そうと決めたんだ」
「……そうなんだ…?」


クリスマスプレゼントを揺らしながら、俺たちはあの雪の日の事を語り合った。

高杉と銀時が会った日――
俺も銀時と会った。

俺がもう少し大人なら。
俺がもう少し早足だったなら。
銀時を先に見つけたのは、俺だったはずだ。
そうすれば、長い間銀時を苦しめることにはならなかったのに。

いや――あの時銀時は重い病を抱えていた。
高杉でなければ助けられなかった。
それを考えれば、あの時自分が銀時を見つけたところで無意味だったか。

「それにさ、あの後の10年があるから――俺は今こんなに幸せで、こんなに土方のことが好きでいられるんだと思うんだ」

コイツは時々こうして俺の不意をついて、嬉しいことを言う。
そんな相手に俺は短く「そうかよ」と悪態を付く。
銀時はそんな俺に、にこっと笑って「そう。」と返す。

「今が幸せなら、何だっていいよ。そうだろ?」
「…ああ、そうだな」

相変わらず銀時のクスリとの戦いは続いている。
中毒症状は一定の間隔で銀時に呼吸困難や体の震えをもたらす。
毎度、そんな銀時の体を抱きしめてやる。
こんなことしかできない自分を悔やんではいるが、そんな症状も、最近は感覚が随分広くなってきた気がする。
もう少しで普通の生活に手が届くかもしれない。


俺たちの未来は、ムゲン大。

















END。

とととととりあえず終わりましたぁぁぁぁ;!
何と長くなってしまったのだろう;すんまっせん;!
次は新しい連載やら短編やらを書きたい…。
ここまで読んでいただきありがとうございましたァァァァァ!!
20060622UP








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