悪いのは自分なのか。
悪いのは時代なのか。
悪いのは運命なのか。

誰カ助ケテ。

ムゲン1

「総悟のヤロー明日会ったらだだじゃおかねぇ…」

歌舞伎町大通り。
黒いカッターと黒いスーツに身を包み、煙草をくわえて歩く、この土方は、
歌舞伎町一大きなホストクラブで、No.1と言われている男である。
その実、顔は悪くないし背もそこそこある。No.1となったのも頷ける話だ。
そんな土方は毎度、クラブから上がりの時のある出来事に悩まされていた。
更衣室にある個人使用のロッカー。帰るため着替えようとロッカーを開けると決まって、
ドサドサッとある物が雪崩のように落ちてくる。それは…

コンドーム。

箱詰めされている大量のソレがロッカーから落下してくるのだ。
もちろん土方が入れているわけではない。誰かが故意にしていることだ。
そして土方にはそれが誰かわかっていた。

「総悟ォォォ;!!」

総悟、とは沖田総悟。
土方の2年後輩のホストで5つほど年が離れている。
成年していないが年齢を偽ってクラブに在籍している。
腕がいいようで、今では土方に次いでクラブNo.2に君臨しているため、クラブ側も年齢を偽らせてまで残らせたい、というわけである。
さて、沖田が何故土方のロッカーにそんないやがらせをするかと言うと簡単に言えば『楽しいから』らしい。

その日はすでに沖田が上がってしまっていたので土方の怒りは発散出来ないままお持ち帰りすることになってしまった。
コンドームの山をとりあえずゴミ袋につっこむ。

「ったく…稼いだ金、こんなくだらねぇことに使いやがって…」

そして簡単に着替えてクラブを出ると、既に東から朝日が僅かに顔を出していた。

「そういや煙草切れてたな…」

ふとポケットに手をやるといつもの感触がないことに気付く。
そういえばついさっき自販機を通り過ぎた気がする。進行方向を逆にして自販機まで戻った。

目的の銘柄をとりあえず3箱ほど買い、今度こそ帰ろうと歩き出す。

「…  …」
「…ぁ?」

自販機から10歩ほど歩いてふと辺りを見渡す。

「…っ…」
「何だ…?」

何か声らしきものが聞こえる。もっともそれは声と判別しきれない程小さな吐息のようなものだったが。

「…こっち、か…?」

2軒の建物の隙間、人一人ギリギリ通れるほどの隙間から、その声らしきものは聞こえてくるようだった。


――今思えば、放っておいてもよかったのだ。
何故わざわざ声の主を探しに行ったのか。
それはもしかすると、運命、とかいうものではなかったのか。


「……」

暗く湿っぽい、狭く汚い場所。膝を抱え、寒さを堪えるように、ソイツはいた。

「アンタ…こんなところで何してる…?」
「……」


――ゆっくり顔を上げ、向けられたその瞳を、俺は一生忘れないだろう。


「…っ」

息を飲んだ。あまりに綺麗で。

同時に無償に切なくなった。

綺麗で、儚い。

今にも崩れてしまいそうなそんな瞳。

「…た…、て…」
「え…、…!」

何かを言いかけてその体が崩れ落ちる。咄嗟に抱き留めた体はあまりに軽くて、人形なのではないのかと思った。

「大丈夫かっ;?おいっ!」
「……」

呼吸が荒い。額に触れると熱があるようだ。
ソイツを抱き上げて大通りに戻りタクシーを拾った。

とりあえずこのまま放っておけないのでうちに連れて帰ることにした。




えっと、某氏(ぇ。)とのメールよりパロディ銀魂連載開始です。
まぁた連載やっちまったよ…。
20051025UP








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