作戦7

「嘘なんだ、全部」

土方は沖田にそそのかされて銀時を騙したこと、
病気のふりも全部演技だったこと、
屯所を飛び出したのは銀時を探すためだったことを、銀時の体を抱きしめたままゆっくり話した。

「だから…、その、悪かったな…お前に怒鳴られても、仕方ねぇと思ってる」
「……」

銀時を試すようなことだったのだ、結局は。
それは、もし自分がされたらブチ切れることだし、きっと怒鳴り散らす。
だから銀時にそうされても仕方ないと思ったのだ。

だが

「…よかった」
「…あ…?」
「トシ、死なねぇんだ…よかった」
「!」

そっと銀時から離れて顔を覗き込む。

笑っていた。

「銀…」
「俺さ、マジでトシ死ぬんだって思って、思い出したんだ。忘れてたわけじゃないけど、思い出した」

昔、目の前で死んでいった仲間達。
自分が守れなかったモノ。
隣にいた人間が血を流して倒れる風景。

「トシが死ぬと思ったら、その時感じてた恐怖より…ずっと、ずっと怖くなった」

隣、どころじゃないんだ。

「トシはもう俺の中で超でっかくなってたわけ」

お前は俺の一部なんだ。
だから、死んだらダメだ。
じゃなきゃ、”俺”が死んじまう。

「ぎ…」
「あと、俺、絶対トシより先に死ぬわ。じゃなきゃキツイもん」

それに俺糖尿持ちだからマジで先に死ぬだろうしねー、と呟いた。

「…それじゃ俺がキツイだろうが」

だから言い返した。
自分も同じだ。
仲間の死は今でも身近にある。
その恐怖を上回る怖さ。

失いたくない、お前を。

「…死ぬときは、あれだな…」
「ん?」
「心中。」
「…マジでか。何、吉原炎上みたいに火つける?」
「…ちょっと話が違うがな」
「トシの花魁姿楽しみにしてます」
「俺か!?俺が花魁役か!?」
「…なぁ、死ぬときのことなんて、考えるの止めよ?」
「…そうだな。俺ももうこんなバカな真似はしねぇよ」
「そうしてくださーい。心臓いくらあっても足んねぇわ」

いつの間にか、空は日が落ち、オレンジ色に染まっていた。




後日談。

「でもやっぱ銀さんに嘘をついた反省はすべきだと思うんだよね、うん」
「…は;?」
「というわけでトシ、1ヶ月マヨ抜き生活で。」
「はぁ;!?」
「コレ沖田くんにも言っておくから。監視体制完璧。一滴(?)でも食べたら一生口きかないからな」
「ちょ、ちょっと待て;!マヨは俺の生活の軸みたいなもんなんだよ;なんつーか、俺はマヨで、マヨは俺、みたいな」
「意味わからんわァァ!大体あーんな大きな嘘ついて、マヨくらい我慢できないわけ?悪いと思ってないわけ?」
「そ、それは…」
「はい、決定。」
「…拷問だろ…マジ病気になるぞ…」
「そんときは鼻毛書きに行ってやるよ」
「結局鼻毛かァァァァ!!」


END

終わりッ!鼻毛オチ☆
200509UP







SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送