作戦6
屯所に引き返すと門のすぐ内側で金髪の兄ちゃんに止められた。
「あ。沖田クン」
「こりゃ旦那。お久しぶりでさァ」
「さっき来てたんだけどさ。…多串君今大丈夫かな」
「…それが、ちょっと今は」
「え?」
「実はさっき部屋を覗いたら姿が見えなくなってましてねェ。今から探しに行こうとしていたところなんでさァ」
「姿が…?って、アイツ具合悪いんだろ;?どっか行くなんて…」
「ええ。だから急いで探し…って、旦那?!」
気付いたら走り出していた。
あんな体で外に出たりしたら…!
「まだ話もしてねぇのに…!」
土方の行きそうな場所を考えながら銀時は無我夢中で街を駆け抜けた。
「…あんな顔、しらないんでしょうねィ…土方さんは」
土方を心配して歪む顔。心配で心配でたまらないというその表情。
きっと当の本人達は意識していないのだ。
お互いがどれほど好き合っているのかを。
「世話がやけまさァ…ホント。」
この騒動を巻き起こした張本人はいかにもしてやった、という笑みで空を見上げた。
「っ…どこだよアイツ…ッ!!」
一方、土方は屯所から出て行った銀時を見つけられずにイライラと街をさまよっていた。
思えば自分が探して銀時を見つけられたことなど過去に無かったのではないだろうか。
いつも銀時が自分を見つけていた。
見回りや仕事に回ったときに来る銀時。
それに比べ自分が会いに行こうと万事屋に行ってもいつも居るというわけではない。
そこで探しに出たところで見つけられたためしがなかった。
結局は銀時次第なのだ、自分達の関係は。
そこまで考えてまた虚しくなった。
「俺ばっかり追いかけてるのか…ダセェ…」
散々探し回って疲れた体を、川原の芝生に預けた。
ずっと咥えていた煙草はもう火が根元近い。寝転んだまま投げた吸殻が川の流れに飲まれていった。
「あーぁ。警察がポイ捨ていけないんだー」
「!!」
聞きなれた声に咄嗟に目線をそちらにやる。
「ぎ…」
「ぁーいいって。そのままで。ったくよー無理して歩くから倒れるんだぞー」
銀時はまだ土方が病気だと思っている。
川原に寝転んでいたのを、無理に体を動かしたため倒れたのだと思っているようだ。
「俺さ…」
言われるまま寝転んでいる土方の隣に銀時が腰を下ろす。
川を眺めながらぼんやりと呟いた。
「やっぱり、別れるの、嫌かも。」
「!」
「いや、嫌だってだけで多串くんが別れたがってるのを無理に引き止める気はないよ。でも俺の気持ちは、うん、そんな感じ。」
「……」
「でさ、別れるにしても何にしても、多串くんの病気治るまで、何かさしてくんない?パシリでも何でもやるから。」
「………」
「で、死ぬときは宣言どおり顔に落書き、すっから…鼻毛。」
にこ、と笑ったその顔は、しかしいつものソレではなく。
土方は無意識のうちに起き上がり、銀時を抱きしめていた。
「…おおぐ…」
「悪かった」
「へ?」
「嘘なんだ、全部。」
中途半端で切ります。
20050911UP
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