作戦4

銀時の為に入れた茶が無駄になり、仕方なく下げに言った山崎と入れ替わりに
今度は沖田が土方の部屋にやってきた。

「ひーじかーたさーん」
「…総悟か」
「旦那、帰りましたぜィ?」

ニヤッと笑って沖田が銀時の帰宅を告げると、
土方は盛大に溜息を吐いて布団に落としたタバコをくわえなおした。

「しかしまぁ土方さん、意外に演技上手で驚きましたぜィ?」
「やめろ。」
「旦那、すっかり信じ込んでましたぜ?」
「のわりに、リアクションはなかったけどな」
「ショックすぎて言葉にならなかったんでさァ、きっと」
「…総悟。やっぱり止めだ。」

こんなやり方はやっぱり自分らしくない気がする。



元々の話のきっかけは沖田との会話だった。

「土方さん。アンタ愛されてる自覚あるんで?」
「ぁ?」
「旦那ですよ。デートもセックスも、誘うのはたいてい土方さんからなんでしょ?そんな扱いで満足なんですかィ」
「…何が言いてぇんだよ」
「一度試してみたらどうです?」
「試す?」
「本当の所、旦那はどの程度土方さんを愛しているか。チェックするんでさァ」
「…どうやってだよ」

ほんのちょっと。ほんのちょっと興味を示してしまった。それが間違いだったのかもしれない。

「それはですねィ…」

掻い摘んで言うとこうだ。
『病気…まぁ寿命の短いもの、癌にでもしときやしょうか。それになったって言うんでさァ。愛されてるなら何とかしようとする、病名や寿命を聞いて泣く…とにかく反応を見るんでさァ。愛してるかどうかってのは失って初めて気づくもんですからねェ。』
だ、そうだ。何だか裏に妙な考えがありそうで仕方が無いが、でもまぁ銀時の気持ちを確かめなおしたい、という気持ちは確かにあった。
軽い気持ちでそれを実行することにしたのだ。
その結果がどっちに出ても、自分をそして銀時を傷つけるものになるなどと、深く考えもしないで。



「もう、止める。銀に話してくる。嘘だって」

立ち上がった土方を沖田が見上げる。

「ここまでやって止めるんで?」
「十分だろ。アイツは泣きも、悲しみすらしなかった。結局俺と付き合っていたのも気分だったんだよ。もう結果は出たじゃねぇか。これ以上何を知る必要があるんだよ」
「これは最後まで、死ぬとこまでやらなきゃ意味が無いんですぜ?ココでばらしちゃ本当の気持ちもわかりませんぜ」
「…もういいんだよ。俺はこれ以上、傷つきたくねぇ。ただでさえ別れることを軽くOKされて痛ぇんだよ。もう無理だ。」

別れ話を持ち出すところから作戦だったとは言え、話を異存なくOKされたのは土方にとって予想外だった。少しは抵抗すると思っていたのだ。
少なくとも未練を少しはもってくれるのではないかと。
そのショックも抜けない状態で、さっきの反応。
もはや自分は恋愛対象ではない…いや、最初から。それこそ付き合う前からそういう対象だったわけではなく、たまたま気分で付き合ってもいいと思っただけなのかもしれない。
結果は出た。これ以上何を聞く。

渋る沖田を振り切って、土方は屯所を後にした。



こういうカラクリ。
20050731UP


 





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