これは作戦だ。
お前があまりにも
俺を陥れたから。

作戦1

「ぁー…ダリ…」

初夏だというのにもはやこの暑さ。なんとかなんねぇのか。

銀時は通る店通る店の、氷暖簾やアイスのケースを睨むように見ながら己のポケットに手を突っ込み、その度に溜息をついた。

「…あ…これで232回か」

232、というのは溜息の回数である。
出かける前、新八とのやり取りの中で

「銀さん…いい加減にしてくださいよ」
「ん?」
「溜息…朝から何度も何度も」
「え?溜息なんかついてる?俺」
「自覚無いんですか…。231回もしてますよ」
「マジでか」
「土方さんが来なくて淋しいのはわかりますけどそう何度もされちゃ…」
「ちょっと待て。聞き捨てならねぇな。いつ銀さんが多串くんが来なくて淋しいって思ったって?」
「違うんですか?1週間前から徐々に溜息の回数、増えてますよ?」
「…気のせいだろ」



一週間前。
それは唐突だったのだ。

元々土方と銀時は…まぁ世間で言う恋人だった。
過去形だ。
一週間前、突然その関係は解消された。

「…お前、俺が死んだら、どうする。」
「は?」

悪い冗談だと思ったのだ。
ただからかわれているだけだと。
だから笑ってやった。いつものように。

「死んだ顔に落書きしてやるよ。鼻毛とか鼻毛とか。」
「鼻毛ばっかりかコラァア!!何だ目にも鼻毛書く気かコノヤロー!!」

叫んだ後、はぁ、と溜息をついてソファに座りなおした。

「…銀。」
「ん?」

「もう、止めにしよう。この関係」

一瞬固まった。
そりゃそうだ。唐突過ぎるし。今の会話の流れと全然関係ないし。

「止めるって…別れるって事?」
「そうだ」
「……」

正直、ショックだとか、そんな考え浮かばなかった。
ただ、何故?とそんな言葉しか出なかった。
しかし何故だと聞いたところでろくな返事ではないだろう。
別れようと言ったからにはそれなりのわけがあるはずなのだから。

「わかった」

銀時が了承するとすぐに、土方は万事屋から姿を消し
以来、一週間。銀時の前に姿を見せていない。



時間は戻って新八との会話。

「溜息ばっかりつかれちゃこっちも気が滅入っちゃいますよ。気分治しに外に出たらどうですか」
「あー…そうだな」

それは名案かもしれない。
溜息ばかりついていた自覚は無いが、気分が冴えなかった事だけは事実だ。
定春とじゃれ合う神楽に「お前も散歩行けよ?」と告げてそそくさと万事屋を出て行った。



「なのに気分なんかぜんっぜん晴れないし」

むしろ蒸し暑さのせいで気分は更に下降していく一方だ。

こんな日はたいてい、土方が
『あちぃな…サテンでも入るか』
『やりっ♪おごりおごり?』
『どーせ一銭ももってねぇんだろうが』
『デート代は彼氏がもつもんでしょー?』
『勝手なもんだな』
と、それでも笑いながらパフェを食わせてくれた。

「…もうそんな事もねーんだな…可哀相な俺の胃…」

腹を撫でながらグスンと鼻を鳴らした。

その時

「坂田さぁあん!!」
「あ?」

遠くから誰かが駆けてくる。
目を細くして見て見ると、そいつはいつも真選組の屯所でミントンをしてる、山崎とかいうヤツだった。

「さ、探しましたよ…っ;万事屋に行っても居なかったから…っ」
「は?俺を探してたの?」
「そうですよっ!」

ミントン坊やは銀時の腕を強く掴んで叫んだ。
本当に緊迫した表情で。

「副長が…死んでしまいます…っ」

銀時は、一瞬呼吸を忘れていた。



久しぶりに小説書いたよ…。
先の見えないデンジャラースな小説です。
根気が続くといいな。
20050724UP








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