016.恋愛とは二人で愚かになることだ。(ポール・ヴァレリー)
その一線を越えたら終わりなんだ。
今までの関係なんて無視されて、何もかも壊される。
だから、このままで――
「よ〜多串くん。仕事サボリですかー?」
「…暇人のてめぇと一緒にすんじゃねぇよ。昼飯だ。」
万事屋から歩いて5分ほどにある公園。
土方は近くのコンビニで買ったサンドイッチにマイマヨをぶっかけて口に運んでいた。
そのようすをうんざりした顔で見ながらもドサッと隣に腰掛ける。
この公園で土方と会うのは初めてではない。
土方は時間がある昼間、ここによく来る。目的があって。
「てめぇはあいかわらずプー太郎か。」
「俺は万事屋っちゅう職についてんの。プー太郎じゃありませんー」
「の割りに暇してんじゃねぇか」
「これはお前アレだよ。体力温存?自宅待機?」
「全部疑問符付いてんじゃねぇか」
銀時も土方と話せるこの時間が好きだった。
土方もこの時間のためにわざわざ屯所から離れたこの公園に足を運ぶのだ。
そして銀時も昼時にここに立ち寄る。
別に約束したわけではない。自然とこうなっただけだ。
でも
「なぁ、銀時――」
「ん?」
”その”一線を越えるマネは2人ともしない。
「…いや、何でもねぇよ」
「…そ。」
――その一線を越えたら終わりなんだ
――今までの関係なんて無視されて
――お互いがどこまでも堕ちていく
誰かを縛り付けて
誰かを傷つけて
誰かを独占して
何が生まれるっていうんだ
先なんて何もない
いつかは別れが来るんだろ?
意味ないじゃねぇか。そんなモンに。
「…な。今から時間ある?」
「ぁ?…昼休みはあと1時間くらい残ってるが?」
「パフェ奢ってよ。3つな」
「はぁ;!?何で俺が…」
「んじゃしゅっぱーつ!」
「勝手に話しすすめてんじゃねェェェェェ!!」
俺らにはこんな関係が似合ってる。
愛を囁きあうなんて似合わない、だろ?
土方の台詞でもあり、銀時の台詞でもあり…
土銀は恋人未満も恋人以上も新婚甘々も、何でも好き。
20060217UP
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