ムゲン5
「…んぁ?」
ふと気付くと自分も眠っていたらしい。
慌てて時計を見ると、10時と少し回っていた。
「やべ…寝ちまってたか…」
看病のためベッド脇に付き添って、そのまま突っ伏すように寝てしまったようだ。
体を起こすとまだベッドには銀時が横になっていた。
「おい…何か食うか?」
少し眠ったことだし、そろそろ何か食わせたほうがいいだろう、と
銀時の肩を揺らす。
「…!」
触れた肩に違和感を感じ、慌てて銀時の体をコチラに向ける。
「おい、大丈夫か;?おい!」
苦しそうに顔を顰めている。
ぜぇぜぇとした荒い呼吸。熱が上がったのかと額に手をやるが、熱は引いていた。
熱のせいで苦しげにしているわけではないようだ。
「どうしたんだよ;しっかりしろ!」
柄になく動揺して、土方は銀時の体を起こした。
「ぅ…」
「!目ぇ覚めたか!?」
「…た、…すぎ…」
「…何…?」
「たか…すぎ…に、連絡……し、てく…」
――たかすぎ…?
「…連絡っつったって…」
「携帯…履歴…に…」
「わ、わかった」
言われるまま銀時の携帯を取り、履歴を見た。
履歴がずらっと並ぶが…
「(何だコレ…履歴の番号、全部同じ発信元じゃねぇか…)」
履歴から”たかすぎ”の番号を探すものだとおもっていたが、
探すまでもなくこの番号が”たかすぎ”なのだろう。
――じゃあさっきの奴も…
7時半ごろにかかってきた履歴も、その番号と同じだ。
ということは、あの声の主が”たかすぎ”ということになる。
――まずいな…
嘘をついた手前、今更なんと言えばいいのだろう。
きっと今頃自分の言った住所が出たら目とわかり、憤慨しているだろう。
そんな相手に連絡するのか…。
「…おい。」
「はぁ…っ、な、に…」
「その”たかすぎ”って奴は…”怖いヒト”じゃねぇのか…?」
「……そ、だけど…?」
「…いいのかよ。連絡して…」
「…言った、っしょ…俺が逃げれるのは、半日が限界…なんだよ…」
「…どういう…」
「はぁ…、いい、から…連絡…して…」
ますます顔色が悪くなる銀時を見て、土方は問いただすのを止めた。
何はともあれ、今は銀時の具合を何とかしなければならない。
履歴の番号で発信する。
2コール目で”たかすぎ”が出た。
『銀時!お前今どこに…!』
「…悪い」
『!その声はさっきの…てめぇ、よくもだましやがった…』
「そのことについては謝る。銀時…サンの具合がおかしいんだよ。で、アンタに連絡しろって。」
『……。だろうな。だから初めから住所を言えと言ったんだ』
「…何…?」
『早く住所を。銀時は俺にしか治せねぇんだよ。』
「……」
土方は自分の家の住所を伝えて電話を切った。
――”だろうな”ってことは…よくこんな苦しい状態になってる、っつーことだよな…
ちらっと銀時を見遣ると、目が合った。
「さ、んきゅ…」
「…悪いな…こんなことになるとわかってたら…最初からアイツに住所、伝えてたんだがな…」
「…電話、あったんだ…」
「ああ。アンタが寝てる時にな…代わりに出ちまった…」
「……。な…土方サン…アンタ、すぐに逃げなよ…」
「何…?」
「高杉…は、俺を、自分の所有物だって…思ってる…もう、異常なくらい、な…だから、アンタの行動、きっと許さねぇよ…」
「…所有物…?…でもよ…なら、尚更謝んねーと…」
「許さねーって…アンタ……殺される…」
「……」
「だから…逃げろ…あと、歌舞伎町に…近づかない方がいい…高杉…この辺りに顔、きくから…」
「…お前…」
階下で車の停車音がする。
「…早く…っ!」
精一杯の力で土方の体を押す。
細い腕では、土方の体が動くことはなかったが。
それでも、苦しい体で伸ばされた手は、土方の心を動かすには十分だった。
「わかった…」
銀時をゆっくりと横たえさせ、立ち上がる。
「…なぁ。」
「…?」
――決めた。
「今は…言うとおりにしてやっから。俺も死にたくねーし、今は。」
――俺は必ず、この男を
「生き延びて、やることが出来た。だから今は逃げるわ」
――助け出す
「でも、待ってろ…絶対、戻ってくるからよ」
驚いたような顔をした男に、そっと口付けた。
恥ずかしさを隠すように、土方は部屋を飛び出す。
高杉がその部屋に飛び込む、1分前の出来事だった。
ぁー…難しい…小説…。
わけわかめな文章だよ…;
20051028UP
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