ムゲン3

「土方、だ。」
「…アンタらしい名前だな。」
「ぁ?」
「アンタ真面目そうだから。堅い名前、似合ってるわ…」
「…そりゃどーも」

誉めてんだかどうなんだかわからないが適当に返す。
水と薬を持たせて飲むように言うと素直に頷いて飲み込んだ。

「で、お前は?」
「ん?」
「名前だよ名前。」
「ぁー…」

一瞬戸惑ったようだが、一度頷いて、白髪の男は土方を見上げる。

「…銀時。」
「銀時…か。お前も、らしい名前持ってンじゃねぇか。」
「そ?」

ああ、と頷くと少し首を傾げて笑った。


何もかも真っ白な、でもどこか惹かれる男。

――銀、か…確かにそうかもな。

「で。何であんなとこにいたんだ?まさかあんな場所で住んでるわけじゃねぇだろ?」
「んー…”逃げてた”から。」
「…”逃げてた”…?誰からだ?」
「…怖ぁいヒト。」
「警察か?」
「まっさかー。俺超善良市民だし。」
「なら誰だよ。」
「……」

それ以上、銀時は話そうとしなかった。
土方が何度尋ねても。

「はぁ…もういい。寝ろよ。治るまでいりゃいーから。」
「…いや。1時間ほどしたら…帰るわ。」
「ぁ?何で…」
「……」
「…帰るって…どこにだよ。”逃げてる”っつったじゃねーか。」
「……」
「オイ…」
「…俺が逃げてから…半日は経ってる…。俺が逃げられるのは、半日が限界なんだよ」
「ぁ?何言って…」
「…とにかく。1時間したら起こしてくれる?それまでは、ご好意に甘えまーす。」

ベッドに横になって布団を深く被る。
土方のこれ以上の問いを、拒んでいるように見えた。

「…わかった」

仕方なく土方も頷いて時計を見遣る。

只今、朝の6時半。

朝日が眩しく、部屋に光を注いでいた。


次あたり、奴が登場…。
20051027UP


 






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