ムゲン12

ガゥン……ッ!!

「…やりますねィ。経験あるんじゃねぇですかィ?」
「バカ言え。こんな物騒なもん持ったことねぇよ」

歌舞伎町の、とあるバーの地下の射撃場。
大きな銃声が木霊している。
もちろん銃なんてものは今の日本では持ち歩きも購入も規制の対象だ。
こんな店もそうデカデカと看板を上げているわけではない。
土方と沖田も入ったのは今日が初めてだ。
それに土方は高杉に追われる身。歌舞伎町にいること自体危険だが、長く居座らなければ大丈夫だろう、とここに来た。

「しかし銃まで必要になってくるとはな…大層なこった」
「そうですかィ?俺は楽しみですがねィ」
「…お前、その銃弾、俺に向けるつもりだろ」
「イヤですねィ。そんなことありますん。」
「どっちだよ;!?”ありますん”って!!!」

銃は事前に1丁ずつ購入した。

そもそも銃が必要だと判断したのは、沖田だった。
『相手は裏のドンですからねィ。死ぬ気で行かなきゃ…こっちが死ぬかも』
そう考えて、銃を持つ決断をした。

「そろそろ出るか。」
「そうですねィ」

銃も買ったし、ある程度打つトレーニングもした。
それにあまり歌舞伎町に長く居ると高杉に気付かれるかもしれない。
2人は地下を出て、用意していた車に乗り込む。

高杉の屋敷を目指して。



射撃場に入る1時間前――

山崎の得た情報を聞くため、2人は再び山崎の自宅を訪れていた。

「調べましたよ。銀色の旦那のこと」
「で。どうだった」
「早く話しなせィ」
「…少しはいたわる気持ちがないのかあんたら。」

山崎は諦めるように盛大に溜息を吐いて話し始めた。

「高杉社長が囲ってる人間――土方さんの言っていた通り、銀色の髪の男でした。名前は銀時。
普段は外に出ることはないみたいです。高杉社長の気まぐれで極たまに外に出されるらしいんですけど…。
高杉社長、やっぱり裏の顔があったんですね。薬物売買が主な仕事らしいです。まぁうちのTSコーポレーションも、母体は薬局ですから…高杉社長は薬学の知識も豊富だし…。
んで、その薬物売買の仕事の方でも会社って言うか、組織みたいな構図があるらしくて、会議っていうか、集会みたいなのが半年に一度、行われるらしいんです。その場で一度だけ、仲間が銀時さんを目撃したらしくて――
それっていうのも高杉社長が、銀時さんの名前とかを紹介したってんじゃなくて、高杉社長の車に、銀時さんが乗っているのを見かけただけ、らしいんですけどね…そのとき――…」

ふとツラツラ喋っていた山崎の口が止まる。

「…?どうした。」
「…この先、聞きます?」
「ったり前だろうが。何なんだよ」
「……土方さん、銀時さんのこと、好きなんでしょ?」
「………山崎。てめぇ死にたいのか?」
「見てりゃ誰にだってわかりますって。」
「てめ…ッ」
「好きなら…知らないで居た方がいいこともあ」
「話せ。あいつのことなら、知りたい。幻滅なんてしねぇからよ。」
「――なら、いいですけど…」

――しかし、話を聞いて、やっぱり聞かない方がよかったのかもしれないと、一瞬だが、思ってしまった。


山崎は会社員なのにスパイ上手。
だってそう設定しなきゃ話が進まないんだもんっ;
20050212UP


 






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