どうして
――死ぬかもしんねぇ…
「なぁんて言ったら…あいつもちょっとは…」
自分の恋人は、もう何と言うか、全くと言っていいほど感情が見えねぇ。
いや、表情はコロコロ変わるし、何をしたいだのそういうことは言うのだが、
俺への気持ちだとか、俺が話したことに対する返事の内容が、
あまり恋人の応答に思えない。
――っつーか、俺って…
「…愛されてねぇ…?」
そういやアイツが俺について恋人っぽい何かって、言ったことあったか?
『この間さーヅラにパフェ奢ってもらってー』
『新八がどうしても実家に来てゴリラ女の手料理食べてってうるさいんだよねーありゃ多分脅されてんなかわいそー』
『神楽が今度遊園地連れて行けってよ。金ないっつったら公園でもいいってさ。可愛いとおもわねー?』
『ババァに昨日飯奢ってもらってさ、助かっちった♪』
――…別に。
俺の前で俺の話なんかしたって意味ないし
――…べっつに。
何で俺以外の話をしてるときそんな幸せそうなんだよとかマジで責めたりしねぇし
――……。
俺のことどう思ってる、何てのは―――怖くて聞けねぇし
こんな心の狭い人間、いねぇよなぁ…
「ぁ゛ー……」
嫉妬ってのは何でこうも厄介なんだ。
で、何で俺はこんなに嫉妬に狂う人間なんだ。
だいたいアイツは自由奔放がウリの男じゃねぇか。
そんなことわかってて付き合ってんだろ、なぁ俺。
「…もし死ぬ、つったら…」
―『何言っちゃってんの;!?ンなこと言うなって;!俺がいるじゃん;!』
「…いや違うな…」
―『へ?マジ?冗談言うなよ、笑えないし。やれるもんならやってみろよ?』
「……こっちだな…」
俺は、厄介な奴を好きになっている。現在進行形。
でもいつかはケジメをつけないといけない日がきそうだ。
――そう遠くない日に。
じゃねぇと俺がおかしくなっちまう。
「…できるのかよ、俺…」
こんな黒い嫉妬心をどうしたら消せるっつーんだ。
「やっぱ…そりゃ……死ぬくらいしかねぇなぁ…」
”君を愛せなくなるくらいなら死ぬ”ってか。
――何か哲学者のセリフみてぇだな…
「…できれば…」
このまま愛せますように。
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