言葉

最近、俺は自分の中でちょっとした変化をした。
きっかけは、自分の恋人。

銀時が久々に屯所に来た。
仕事やら何やらで、3ヶ月振りに会えた。

その日会うことは電話で1週間ほど前から決めていた。
会わないことに、俺自身そろそろ限界が来ていたから、というのもあった。
朝、銀時の方が用があるということで、屯所への到着が夕方になるということになっていた。
そして、時間がちょうどよさそうだし、花火を見に行こう、ということになっていた。
今までこれといった行事の時に一緒に居たためしもない、一度くらいは華やかな思い出を作ろう、そう思って。

しかしそう簡単にはいかない。
朝の用が済んだ後、家のガキ共がうるさく言って、どこかへ連れて行けと迫られたらしい。
結局、こちらに着いたのは花火の始まった後。
今から移動しても間に合わない、という時間だった。

自分は気が短い。自覚はある。
だから「何でガキのことを優先するんだ」とか「久々に会うんだぞ、今度いつ会えるかもわからねぇのに」とか。
文句はいくらでも浮かんできた。しかし、全部飲み込んだ。
遅れてきたことに謝りもしない相手にさえ、花火に行けなくなったことを残念がったり、責めたりすることはしなかった。
心の狭い自分には、本当にありえない行動。いつもなら真っ先に喧嘩している。
でも、久々に会う短い時間、喧嘩に潰すなんてもったいないから。我慢した。
小さいことかもしれない。でも、週何度も会えるカップルと、自分達は違う。
会うのもまれで、少なくとも自分は貴重な、大事な、日だ。

だが…つまりはそういうことだ。相手にとってその日は日常の延長。意味のある日でもないのだ。
相手と自分とでは、お互いの位置関係に違いがある。

自分は何を差し置いても恋人を1番に出来る。
相手は違う。

というか、相手は
俺を好きではなかったのだ。



後日、花火のことがあって暫くして、久々に会ったときだ。
詳しい話の内容なんて覚えちゃいない。
でも内容はこうだ、「土方のこと、好きじゃないんだ」。

俺は今まで銀時の言葉で、本気で自分の考えを変えようかと思ったことが2度ある。

しかし今回はキツイ。

元々告白は相手からだった。自分も好きだから、受けた。
まともな告白じゃなかったが、まぁいい。嬉しかったから。

でも相手の気持ちは、今は違う。自分の気持ちは上がっていくばかりだというのに。
いや、もしかしたら元々好きなわけではなかったのかもしれない。
そう思ってしまうほど、今の自分には銀時を信じられる余裕がない。

知らず、親密になっていった自分達の関係。
ヤったのだって両手で余るくらいだ。

銀時は「好きになりたかったのかもしれない」と言った。好きになれる相手を見つけたかったのだと。

銀時はまともに誰かを好きになったことがないらしい。
そんな銀時にとって俺は、もしかしたら好きになれるかもしれない、そんな存在になっていた、と。そういうとこだろう。
だから告白したのかもしれない。

これは少し前の話だが、同棲をしようか、と話題を投げかけたとき。
断られた。まぁ理由はいろいろだ。
そういうわけで一緒に住むことも現在出来ない。きっと、今後もない。

そして俺は言った。
「別れようか?」
でも言われた。
「別れるのは無理だ」
言った後銀時は、顔を覆って体を震わせる。
どうすればいいのか、どうすれば、自分は楽になるのかと、銀時の肩が、叫んでいた。

ああ、そうだ。銀時だって、辛いんだ。
他人を好きになれない自分。本気になれない自分。
そんな自分が嫌いなのに、そう簡単に気持ちや考え方は変化しない。
俺だって同じだ。願ったって、人間はそう簡単に変われない。

「…待っててやる」
「…?」

待っててやる。お前が俺に惚れて、自分がわからなくなっちまうまで、好きだと叫びたくなる、そのときまで。

「待っててやる」



最近、俺は自分の中でちょっとした変化をした。

俺は決めたのだ。

待とう。銀時が戻ってくるときまで。

それまでは感情を殺せばいい。
何にも考えない。元々自分には何もない。出来ることも何もない。
だから見ていよう、と。何も言わずに見ていよう。
その結果、お前が消えたら、
その時は、泣いて泣いて泣けばいい。

どうせ、お前には何の感情も与えられないし、お前には何も見えないから。
だって、自分が泣くとき、お前は俺を好きじゃないし、お前は近くにいないから。





まぁ色々思って書いたものです。
別に土方は最後、自暴自棄になっているのではありません。
土方が何故こういう結論を出したのかは、読んだあなたが感じた、そのままの理由です。
…わからないか(^^;でもあえてごちゃごちゃ書きません!以上!
20050910UP







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